近年サッカー界では客観的に、より視覚的に、説得力を持たせるために数値が用いられるようになりました。
ボール保持率やパス成功率などは既にデータとして統計されるのは当たり前となりましたが、現在ヨーロッパを中心に広まっているのが「ゴール期待値」です。
ゴール期待値(xG)とはどういったもので、何をもとに計算されていて、どういった使われ方をしているのでしょうか。
ゴール期待値(xG)とは
ゴール期待値は英語で「expected goals」となり、「あるシュートチャンスが得点に結びつく確率」のことです。確率なので0〜1の数字の中で表されます。(0が確率が低く1が最も高い)
ゴール期待値は選手の技術や能力を表すものではなく、「チャンスの質」を表すものです。0xGは得点するチャンスがほとんどないことを表し、1は得点するチャンスがかなり高いことを表します。
例えば自陣ゴール前からのシュートは、相手ゴール前でのシュートよりもゴールにつながる確率は高くありません。この時にゴール期待値を用いることで、一般的に選手がこれらの各状況から得点できる確率を数字として表すことができます。
注意しないといけないのは、選手の質ではなくあくまでも平均的な選手が各状況で得点できる確率を表している数字だということと、この数字が試合の勝敗を予想するものではないということです。
サッカーでは往々にして、シュート数が多いチームが負けるということがよくあります。先制点をとったチームが守備を固めてくるという場合などはこういったことはよくありますし、サッカーは不確定要素の多いスポーツ(ミスのスポーツ)であることから、あくまでもゴールの期待値だということを忘れないでください。
ゴール期待値(xG)の計算方法は?
期待値の計算に使われるデータは様々です。
シュートにしてもヘディングか利き足なのか違うのか、ラストパスは浮いていたのかグラウンダーなのか、守備者からのプレッシャーはどうか、シュートまでのパスの本数、奪った地点からの距離など細かく分別されたプレーをそれぞれパラメーター化して統計することで求められます。
http://www.pinnacle.com/ja/betting-resources/detail/embedcard/expected-goals-model-analysisピナクルでこの記事を読む
↑こちらのピナクルさんのサイトでは、ゴール期待値をいろいろな求め方で計算する方法がまとめられていますので、ぜひご覧ください。
実際、期待値の求め方は様々あり、どこにフォーカスするのかというので大きく変わってきます。ゴール前でのボックス内のプレーだけなのか、それともその前のプレーまで含めるのかというのでも期待値は変わってきます。各クラブ、データ会社などは自分達が重要視する点を含めながら取り扱っているのが現状です。
期待値の見方
上の画像はプレミアリーグのチーム全体のゴール期待値です。1を超えるものがたくさんありますが、これはシーズン終了後に総得点と試合数から見てみると、1を超えてしまうことがあります。
この表から分かることはまず、マンチェスターシティとリバプールはゴール期待値が2を超えていることから、1試合に2得点以上することが期待できるということ。反対にノリッジシティは0.94xGとなっており1試合に1得点できるかどうかということがわかります。なので得点シーンがたくさん見たい!という方はリバプールやマンチェスターシティの試合を見に行った方が、得点シーンをみることができるかもしれません。
続いて実際の得点数です。上位2チームは期待位通りマンチェスターシティとリバプールが他を圧倒しています。また、どちらのチームも期待値とほぼ変わらない数値のゴール数を決めていることから、両チームの選手たちは決めるべきところを決めているともいうことができます。
面白いのはその下のチームで、期待値では4位に位置していたアーセナルが実際の得点数では6位に位置していることです。そして、期待値では13位ながら実際には62ゴールで5位につけているのがレスターだということ。アーセナルは期待値1.86xGに対して実際の1試合得点平均は1.61得点とかなり下回っています。つまりチャンスはしっかりと作っているけれど、決めきれていないと見ることができます。そうした観点から、アーセナルが夏の移籍市場でマンチェスターシティからガブリエル・ジェズスというストライカーを獲得したのは理に適っているといえます。
また、レスターはチャンスの質は高くないけれど決め切る選手がいたということになります。す0パーゴールが多いと見ることができるかもしれません。さすがは奇跡のプレミアリーグ優勝を成し遂げたレスターです。勝負強さがあります。
まとめ
https://footystats.org/jp/←Footy Stats さんのサイトではヨーロッパのリーグなどのゴール期待値や他にも前半・後半での期待値の違いなども見ることができます。ぜひ訪ねてみてください。
いかがだったでしょうか。ゴール期待値は高いからといって勝つという訳ではないということがお分かりいただけたでしょうか。しかし、ゴール期待値は言ってみればチームの攻撃のクオリティを示しているとも言えます。期待値が高い方が相手を崩している、チャンスを作り出しているというわけです。
アーセナルのようにチャンスを作っているけれど得点数が少ない場合は、フィニッシュのうまい選手やストライカーを獲得すれば改善される可能性がありますし、ノリッジなどのゴール期待値が低いクラブはチャンスを作り出す選手が必要かもしれません。レスターはチャンスの質を上げることができれば、上位陣に対抗していくことができるかもしれません。
今やサッカー界でも頻繁に目にするゴール期待値に、新シーズンは少し注目してみると、各チームや選手の見方が変わってくるかもしれません。
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